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VRと映画俳優のカンケイ:『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッドはVRホラーに意欲的!?

イライジャVR元年となった2016年、アメリカで“テレビ版アカデミー賞”というべきエミー賞の授賞式に、1本のVR作品が登場した。VR×フルCGIの短編アニメーション作品『Henry』である。

エミー賞は毎年、テレビで放映されるドラマやトーク番組、ドキュメンタリー番組を中心に、そのほか幅広く映像作品を評価する賞として開催されているが、VR作品が登場し、あまつさえ賞を受賞したのは初めてである。
孤独なハリネズミのヘンリーが過ごす「自分のお誕生日会」のユーモラスなひとときを描いたこの作品は、エミー賞の「Outstanding Original Interactive Program」という部門で賞をとったという。

henryこの作品で、ナレーションを担当していたのが今回の主人公、俳優のイライジャ・ウッドだ。
彼が率いるホラー映画専門の映画制作プロダクション「SpectreVision」が、ゲーム開発会社でありVRコンテンツの制作も手がけるUbisoftと共同で、VR作品を制作することが決定しているのである。
初めてそのことが発表されたのは、2016年1月に開催されたサンダンス国際映画祭でのことだった。

俳優として、プロデューサーとしてマルチな活躍を見せるイライジャ・ウッド

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001~2003)で演じた、指輪を捨てる使命を負ったホビット族の少年フロドとして覚えている人も多いであろう、イライジャ・ウッド。
高貴さと繊細さが同居しているような魅力的な目が、何よりも印象に残る俳優だ。過酷な旅のなかで指輪に魅入られていく難しい役どころに、その目、そのルックスはピッタリだった。

ただ、彼のフィルモグラフィをたどってみると、実はルックスの高貴な感じを活かした爽やかイケメンの役よりも、目にあらわれた繊細さが狂気にのまれるようなホラーな役どころが多い俳優であることがわかる。
オバケが出てきてワーキャー!といったホラーではなく、観た次の日は人に会うのが怖くなるようなホラー作品に出演したり、ホラーな役どころに挑戦したりしている。

バイオレンス・アクションに定評のある監督、ロバート・ロドリゲスが人気コミックを映画化した『シン・シティ』(2005)では、ひとことのセリフもなく、終始うす笑いを浮かべるブキミな人食い少年を演じ、『マニアック』(2012)では思いっきり倒錯した愛に生きるサイコキラーを全力投球で演じている。

sin_city実際、SpectreVisionが設立されたころのイライジャのインタビューを見ると、どうやら子供の頃から彼の趣味としては『指輪物語』よりは『エクソシスト』だったようである。

イライジャ・ウッドはSpectreVisionの代表として、2017年1月現在まですでに2本のホラー作品をプロデュースしている。『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』(2014)、『ゾンビスクール!』(2015)だ。
『ザ・ヴァンパイア』はオシャレでクールなモノクロ映像が印象的な、静かなゴシックホラー。
『ゾンビスクール!』は一転して、学校を舞台に“キッズゾンビ”たちと教師たちの対決を描いた賑やかなコメディホラー映画である。
着実に佳作を世に送り出しているプロデューサーなのである。

Ubisoft「彼らのホラー映画制作のノウハウに期待しています」

SpectreVisionと今回、VRコンテンツ制作のためにパートナーシップをとることが発表されているUbisoftは、フランスのゲームメーカー。
2016年末には実写映画化が決定した「アサシンクリード」シリーズなどのヒット作を世に送り出しており、VRゲームにも手を伸ばし、「Star Treck:Bridge Crew」という「スター・トレック」をモチーフにした作品などを発表している。

star_treckそんなUbisoft、新しいVRコンテンツの制作にあたってなぜイライジャ・ウッドのプロダクションをパートナーに選んだのだろう?
UbisoftでVRにたずさわっているパトリック・プルード(Patrick Plourde)氏のコメントを聞いてみよう。

「我々が期待しているのは、彼ら(SpectreVision)のホラー映画制作のノウハウです」
そうなのだ。やっぱりUbisoftは“VRホラー”を制作しようとしているのである。

コンテンツの内容がどのようなものになるのか、まだ発表されていない。
Ubisoftがこれまで手がけてきたようなVR×CGIのVRホラーゲームなのか。実写短編映画なのか。

いずれにせよ、プロダクション設立時のインタビューで「ホラー映画をつくるのは昔からの夢だったんだ」とうれしげに語り、Ubisoftとの制作することが発表された2016年のサンダンス映画祭の会場では「僕はUbisoftのゲームが大好きだから今回のコラボはとてもうれしい!」と興奮して語ったイライジャ・ウッドが関わるVRコンテンツだ、きっと素晴らしい“VRホラー”になるに違いない。