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“ブレラン”が好きすぎて:『ブレードランナー』ファンメイドのVRコンテンツが話題を呼ぶ

デッカードの部屋「VR2年」にあたる今年――2017年の10月公開が決定している映画『ブレードランナー2049』(日本では11月に公開予定)。
名匠リドリー・スコットが監督した『ブレードランナー』(1982)から実に35年を経て、今はやりのリブート(新たにイチから作り直す)ではなく正式な続編として制作され、このほど公開が決定した。
全映画ファン注目の作品だ。

ブレードランナーリドリー・スコットは今回、プロデューサーとして映画全体を統括する立場に回り、監督は新鋭ドゥニ・ヴィルヌーヴがつとめる。

ドゥニは『灼熱の魂』(2010)や『ボーダーライン』(2015)などハードな人間ドラマを描く映画で注目され、独特のセンスをいかんなく発揮した『複製された男』(2013)でも映画ファンを魅了した。
2017年1月現在、日本では新作SF映画『メッセージ』の公開が待たれている。

映画界の鬼才デヴィッド・リンチが1984年に監督したSF映画『デューン 砂の惑星』リメイク版の監督に指名されそうだというニュースもある、映画ファンに愛され、映画業界でかなり信頼されている作り手なのだ。

ところで、『ブレードランナー2049』は、「VRコンテンツが制作されることが決定」「リドリー・スコットが制作するというVR作品はこの映画に関するものではないか」などVRに関するさまざまなニュース、憶測が飛び交い、VRの分野でも話題を呼んでいる作品だ……が、今回の主人公はリドリーでもドゥニでもなく、厳密にいえば10月公開予定の『ブレードランナー2049』でもない。

1982年に公開された『ブレードランナー』を愛するあまり、数年をかけて仮想空間上に物語の主人公デッカードの部屋を作っている男――現在ベルギーで活躍するソフトウェアエンジニアのQuentin Lengelé氏である。

映画のセットをほぼ完璧に再現!サイバーパンクの世界の片隅に入り込めるVRコンテンツ

映画『ブレードランナー』は、高度に発達した未来文明がついに限界を迎えようとしている終末世界を舞台にしたシリアスなSF映画だ。

殺人を犯して脱走したアンドロイド(レプリカント)を追うことを命じられた元ブレードランナー(特別捜査官)のデッカード(演:ハリソン・フォード)を主人公として、命の意味や人間の自己認識を問う重厚な物語が描かれた。

――と書くと何だか堅苦しい映画みたいだし、実際にひどく哲学的な内容の映画でもあるのだが、ハリウッドが誇る“映像派”のリドリー・スコットの紡ぎ出す映像は美しく、奇妙なカオスに満ちた未来世界の描写はのちの映画、アニメ、文学、あらゆるカルチャーに影響を与えた。

当時SF小説の世界で流行のきざしを見せはじめていた「サイバーパンク」の世界を、初めてヴィジュアルで見せた映画が、『ブレードランナー』である。

未来都市デッカードの部屋を、長い歳月をかけてVR空間上に再現しつつある(2017年内には完成品を公開予定だという)Quentin氏が惹かれたのも、その圧倒的なヴィジュアルだろう。

実際、彼が作り上げつつあるデッカードの部屋のVRコンテンツの「予告映像」はYouTubeに公開されているが、あの奇妙な未来世界の片隅にある孤独な元ブレードランナーの部屋が見事に再現されている。

壁のタイル、床のカーペットの模様も寸分たがわず、窓の外にはガスに煙るカラフルで混沌とした未来都市を見ることができる。
Quentin氏が嬉々として細部を作り上げていく様子が目に見えるような、愛情のこもったコンテンツである。

『ブレードランナー2049』公開前に、おさらいとして『ブレードランナー』を観る人も多いと思う(僕も公開が近づいたらTSUTAYAに走るつもりだ)。

『ブレードランナー』のスクリーンからあふれかえるようなSFセンスのすさまじさ、公開から30年以上が経ってもまったく色あせないその新しさをあらためて感じることになるだろう。

そしてその頃、もしQuentin氏のVRコンテンツが完成していたとしたら、映画の余韻に浸るのにうってつけだろうし、『ブレードランナー2049』への期待感もより高まるというものだ。

Quentin氏が作り上げつつあるVRコンテンツは非公式の作品だが、このように映画ファンの心をくすぐることで、『ブレードランナー2049』に貢献しまくっているのである。