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VRと映画俳優のカンケイ:才媛エリザベス・バンクスはVRアニメに夢中

エリザベス・バンクス「仮想空間で愛らしいキャラクターとふれあえるVRコンテンツをつくる」
そんなコンセプトのもとでVR短編アニメを制作している会社がある。アメリカのシリコンバレーに本社を構えるバオバブ・スタジオだ。2016年、PSVRでも鑑賞できるアニメ作品『Invasion!』を送り出し、100万をはるかに超えるダウンロード数を記録した。

『Invasion!』は冬のある日、巣穴を飛び出して僕たちのもとに駆け寄ってくるウサギが、突如飛来した宇宙船に乗った異星人たちとちょっとしたドタバタコメディを繰り広げる短編作品だ。

CGアニメで描かれたウサギは可愛らしく、地球を滅ぼしに来たにもかかわらずウサギ1匹に翻弄されてドタバタしてしまう異星人たちもどこか憎めない雰囲気を持っている。
10分に満たない短編作品だが、現在ハリウッドで長編映画化が決定しているようだ。

asteroids今回の主人公、女優のエリザベス・バンクスは『Invasion!』の続編として制作され、2017年1月のサンダンス国際映画祭で初お目見えとなるVRアニメ作品『Asteroids!』に“出演”している。
彼女はその出演経験に魅了されたらしく、「VRは俳優にとって新たなキャリアのチャンスになるかも!」という発言をしている。

女優にして映画作家!才媛バンクスのキャリア

デビュー2作目でヒット作『スパイダーマン』(2002)に出演。その後、女優としてのキャリアを順調に積み、大ヒットを記録した『ハンガー・ゲーム』シリーズ(2012~2015)や『ピッチ・パーフェクト』シリーズ(2012~)に出演し、『ピッチ・パーフェクト2』(2015)では出演のかたわら監督業にも挑戦。女子大生たちが組んだアカペラグループの奮闘を描いた青春映画の続編を、見事成功に導いた。

PITCH_PERFECT監督としての手腕は高く評価されており、現在、女性エージェントたちの活躍を描いたスパイアクション作品『チャーリーズ・エンジェル』のリブート版の監督をつとめることも明らかになっている。

俳優として成功して監督業に進出する映画人は、ハリウッドには特に多い。

現代の映画界で最高の作家のひとりとなったクリント・イーストウッドをはじめ、アカデミー作品賞を受賞した『アルゴ』(2012)のベン・アフレック、古いところでは「アメリカン・ニューシネマ」の代表作となった伝説的な作品『イージー・ライダー』(1969)を監督したデニス・ホッパーなど、錚々たる名前が並ぶ。

エリザベス・バンクスの名前が将来、それらの名前に並んで映画史に記されることは間違いないといっていいだろう。

バンクス、VRアニメ『Asteroids!』に“出演”

2017年1月に開催されるサンダンス国際映画祭において初お目見えが決定している『Asteroids!』は、前作『Invasion!』に登場した異星人たち(MacとCheez)を主人公にしたVR短編アニメ作品。
VRヘッドセットをつけた観客は彼らと一緒に宇宙船に乗って10分未満の大冒険に出発する――という感じになるようである。
バンクスはより細身で色が淡いCheezの声を当てている。

Cheesバオバブ・スタジオではアニメの制作にあたって、バンクスの声を異星人Cheezにあてるだけでなく、彼女の顔の演技をCGアニメのキャラクターに反映させる技術を活用した。
そういうわけで、彼女は『Asteroids!』に“出演”していると言えるのである。
そして彼女はその体験に感銘をうけ、俳優のキャリアについて言及することになったのだ。

VRが提示する新しい俳優のカタチ

ハリウッドスターがアニメ作品の吹き替えをしたり、CGIで描かれたキャラクターの声をあてることは少なくない。
アメリカでもその大半が上映されているジブリ作品を例にとると、かつて天才子役姉妹と呼ばれ、現在でも映画界で活躍するダコタ・ファニングとエル・ファニングが『となりのトトロ』(1988)のサツキとメイを演じた。

あるいは、『スター・ウォーズ』シリーズ(1977~)でルーク・スカイウォーカーを演じているマーク・ハミルが『天空の城ラピュタ』の悪役ムスカ大佐を演じている。

また、ディズニーの実写映画『ジャングル・ブック』(2016)では、見事なCGIでリアルに造形されたオオカミやクマ、大ヘビにビル・マーレイやスカーレット・ヨハンソンなどの名優たちが声をあてている。

ジャングルブックバオバブ・スタジオが『Asteroids!』で活用した技術を用いれば、俳優たちは声だけでなく表情、あるいは体の動きなどもキャラクターに反映させられるようになる。

スクリーンで隔てられた存在ではなく、実在感が強い仮想空間上のキャラクターとして、観客により近いところで、もっと違った演技のアプローチをすることができる――。
そのように、バンクスは考えたのだろう。

俳優はキャリアを積む――演劇の舞台で、映画のスクリーンで、アニメ映画の声として。
そして今、まったく新しいキャリアの道がひらけているのである。