本国アメリカではすでに公開日を迎え、日本でも今月7日に封切りを迎えようとしているスカーレット・ヨハンソン主演のSF映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』――そのVRコンテンツが、ついに登場した。
配信開始日は、アメリカでの公開日に当たる3月31日。
開発はOculus社、それに映画の制作を担当したドリームワークス、制作・配給を行うパラマウント社が中心になった、という話だ。
ドリームワークスといえばスティーブン・スピルバーグが設立者に名を連ねて経営している映画制作会社だし、スピルバーグといえばVRに関する並々ならぬ好奇心を隠さない映画監督としてすでにおなじみだ。
2016年5月には“VR映画”について警鐘を鳴らす一方、現在はVRをモチーフのひとつとするSF映画『Ready Player One』の監督を担当して制作の真っ最中だ(公開は2018年予定)。
そんな監督が経営陣に名を連ねるドリームワークスが制作に携わっているのだから、今回のハリウッド版『GITS』のVRコンテンツも、そのデキには期待が持てるというものだ。
現在、Oculus Rift版、Gear VR版のコンテンツがそれぞれ無料で(!)配信中である。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』
映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、1995年に日本でもアニメ映画化されたマンガ作品『攻殻機動隊』を原作とするSF映画だ。
『攻殻機動隊』は、近未来の日本を舞台にさまざまな犯罪と闘う公安9課の活躍を描き、「ネットワーク」や「電脳」、「義体」、そしてあの胸躍る「光学迷彩」などのワードが飛び交うことでも知られるハードSF作品。
そして同時に、アニメ映画版の監督をつとめた押井守の作家性もあって「人間の存在」を深くえぐるような、ニーチェいわく覗いていると覗き返してくる例の「深淵」を描くような、哲学的、文学的な匂いすらする作品――そんなイメージを持っている人も多いのではないだろうか。
確かに、そもそも直訳すると「殻の中にある霊(魂)」となるタイトル自体がとても哲学的だ。
アニメ映画作品は世界中にファンを持ち、その後のSF映画そのものにも変革を与えたといわれるほど、影響力のある作品でもある。
今回の映画化では、原作では日本人として描かれていた公安9課の少佐・草薙素子をスカーレット・ヨハンソンが演じるということで、頑迷なファンからは難色を示す声があがった、というニュースもあった。
しかし、フタをあけてみれば予告編のヴィジュアルはなかなか鮮烈だし、映画の制作陣はヨハンソンの演じる役を劇中、あえて名前で呼ばずに「少佐」と呼ぶという英断で対処した。
日本公開は、冒頭紹介したように今月7日――というわけで、今、僕が最も楽しみにしている映画作品である。
映画『GITS』の世界観を体験できるVRコンテンツ
今回、Oculus RiftとGear VR向けに配信が開始された『GITS』のVRコンテンツは、「少佐」の目線で映画の舞台になった2026年の東京を体験できる――そんな内容になっているようだ。
公開されているコンテンツの予告編では、1995年のアニメ映画版の冒頭で描かれ、今回のハリウッド版でも描かれるであろう、「光学迷彩」をまとった少佐がビルの屋上からダイブする直前のシーンが描かれている。
ビルの屋上からは映画で描かれるはずの東京の未来的な街並みを360度自由に見回すことができ、独特のダークな雰囲気を堪能できる。
アメリカでは映画の公開日当日に配信が開始されたが、幸運なことに僕らにとっては公開前の配信となった。
映画の予習を“体験的”に行うために、ぜひオススメしたい。