ここでは以前からたびたび、「VR映画館」について、そしてそれを可能にするアプリケーションなどについて、紹介してきた。
仮想現実のなかで、大きなスクリーンを前にして映画を楽しむことができる――今や、僕たちはわざわざ映画館に行かなくても、その気分を味わうことができる。
たとえば、PSVRの「シネマティックモード」などはそのひとつだ。
映画館をモチーフにした仮想現実のなかで巨大スクリーンに映し出される映像を鑑賞することができる。
あるいは、スマホで楽しめる「VR映画館」もある。
「Cmoar VR Cinema」は、端々にいたるまで細かく再現された「映画館」のなかでスマホに保存した映像を鑑賞できるスマホアプリだ。映画館の雰囲気が好きだという方は、こちらを利用してみてもいいだろう。
また、ここでは「Bigscreen」というアプリも紹介した。
このアプリが画期的なのは、ひとりではなく複数人でVR空間を共有できるという点だ。
「高級マンションの一室」のような仮想空間で、何人かで「ソファに座り」、「大インチのテレビスクリーンを見る」ことができる。
今回もまた、「VR映画館」について紹介したい。
アメリカの映像配信サービスであり、日本でも利用者が多いであろう「Hulu」が提供する「VR映画館」である。
Huluとは?
Huluは2008年からアメリカで、2011年からは日本版も利用できるようになった映像配信サービス。
テレビ番組や映画作品などを見ることができ、日本版Huluでは日本テレビ系のバラエティ番組やドラマ、HBO(アメリカのケーブルテレビ局)の番組を見ることができる。
HBOは全世界でヒットした『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998~2004)や超大河ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~)などを制作している。
さらに、過去の名作から最近の話題作まで、さまざまな映画作品を配信していることでも有名である。
そんなHuluが今回、「VR映画館」に参入した。
日本ではまだ先の話…Huluの「Social VR」
2017年2月、本国アメリカのHuluは「Social VR」の取り組みについて発表した。
実はVR元年となった2016年から、この映像配信サービスでは本国アメリカにおいてVR向けのサービスを行っていた(Hulu VR)のだが、今回の発表まではあくまでも個人でVRを楽しめるというサービスに過ぎなかった。
それが今回、ソーシャルなものへと進化したというのである。
新しい「Social VR」では、たとえば「Bigscreen」のように、複数人で高級マンションの一室のようなVR空間で映像作品の鑑賞を楽しめる。
あるいは、「Cmoar VR Cinema」のように完璧に再現された「映画館」で映画鑑賞をすることができる。
しかも「Bigscreen」や「Cmoar VR Cinema」の場合はあらかじめスマホに動画を保存したり、動画配信サイトを利用したりしなければならなかったが、Huluはそもそもテレビ番組、映画作品などさまざまな映像コンテンツを配信するサービスだ。
手間ひまをかけることなく「VR映画館」を利用できるのである!
とはいえ、残念なことに現在のところ、「Social VR」は本国アメリカで利用できるものとなっている。
僕たちが利用できるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうである。