今回は、2018年に公開予定のある新作映画についての情報を紹介しよう。
スティーブン・スピルバーグが監督をつとめるこの作品は、『ゲーム・ウォーズ』という邦題で出版されている小説を原作としたSFアドベンチャー映画だ。
映画の邦題は今のところ決まっていない。ここでは原題の『Ready Player One』で話を進めよう。
原作小説の著者はアーネスト・クライン。
映画の脚本家として活躍するかたわら小説を書き、2014年に出版された『ゲーム・ウォーズ』は世界中でヒットし、今回映画化される運びとなった。
スティーブン・スピルバーグといえば現代の映画界で最も重要な人物のひとりであり、2016年には仮想空間を活用した“VR映画”について警鐘を鳴らしつつ、VRコンテンツの開発に関わることも発表されたことでも記憶に新しい。
そんなスピルバーグが新しい監督作として選んだのは、VRをテーマにした『Ready Player One』だった。
『Ready Player One』はこんな映画
小説、映画はともに2041年、ヴァーチャル・リアリティ――つまりVRの技術が飛躍的な進化を遂げた未来世界を舞台に、少年の冒険を描く物語である。
2017年の現在から遠からぬ未来(あと24年後だ!)、VRは現在よりさらに進化し、人は視覚だけでなくさまざまな感覚で仮想空間を体験できるVRテクノロジーを確立している。
特にVRを活かしたさまざまなゲームを楽しめるOASIS(オアシス)という仮想世界が人気で、子供も大人も夢中になっている。
今から24年後の未来では、致命的なエネルギー危機が蔓延しているという設定である。現実世界がどんどん荒廃していくなか、いわば人々はOASISに逃避しているのだ。
ある日、そんなOASISを開発した大富豪が死去。
その間際、広大なOASISのなかに莫大な遺産が隠されていること、見つけた者にそれが与えられることが明らかにされる。
こうして、仮想空間ばかりか現実も巻き込んだOASISプレイヤーたちのバトルが始まる。そして、根っからのOASISプレイヤーにしてOTAKUでもある主人公の少年も、参戦することになる――。
仮想空間上でOTAKU愛が大爆発!?
ところで、上にチラッと書いたとおり、主人公の少年は熱狂的なOTAKUであるという設定である。
この作品の最大の特徴であるといえるだろう。
映画でどう描かれるのか気になるところだが、原作小説『ゲーム・ウォーズ』には、世界のOTAKUたちが愛する作品が散りばめられている、というのだ。
“ガンダム”や“ウルトラマン”、“エヴァンゲリオン”といった僕らになじみの深い名前も登場する。
しかも小説のなかでは、これらのキャラクターが仮想空間上でバトルをくりひろげたりする場面もあるというのだから、さらに気になる。
もしかして、ハリウッドの優れた技術でガンダムやエヴァンゲリオンの実写化が実現しちゃうのか!?
それはさておき、VRをテーマにしたSF映画は数多いが、『Ready Player One』の設定は現在にも通じるものがある。
2016年にはガンダムとザクの闘いを体感できるVRアクティビティ(『ダイバ強襲』)が日本でも登場しているし、映画のヒーローになりきれるVRゲームなども開発されている。現在のVRテクノロジーが進化したら、なるほど小説『ゲーム・ウォーズ』で描かれるようなことも実現するかもしれない――そんな説得力のようなものがあるのだ。
そういう意味で、あらすじを見る限り荒唐無稽な設定のSFにも見えるが、実は現実的な作品といえるのかもしれないと思うのである。
原作者のアーネスト・クラインは、来たるべきVRの姿を予見するつもりだったのかもしれない。
2041年のVRヘッドマウントディスプレイ、発表!
最近、新作映画が制作されるにあたって、撮影風景が一般の人に発見され、写メがSNSサイトにアップされるという現象がよく起こるようになった。
日本では2015年の秋ごろ、『シン・ゴジラ』(2016)の“群衆シーン”の撮影風景が東京都大田区蒲田で目撃され、SNSに目撃情報がアップされて話題になった。
世界でもこの現象はたびたび起こっており、『Ready Player One』についてもロケセットの画像がSNSにアップされている。
今回、まだ公開日も定かでない『Ready Player One』をテーマに選んだのは、この画像を見たからだ。
画像は歴史を感じさせる瀟洒な建物が並ぶ通りに、仮想空間OASISや、VRヘッドマウントディスプレイ(ヘッドセット)の広告らしきポスターが貼ってあるというものだ。
また、2041年に流行っているVRヘッドマウントディスプレイを付けている出演者の写真なども、すでに出回っているようなのだ。
VRヘッドマウントディスプレイの形状は2017年現在のPSVRやOculus riftと比べても大差ないような感じだ。たとえば、首の後ろにプラグを差し込めばコンピュータの作り出した仮想空間に入れるという設定だった『マトリックス』とは違い、あくまでも現実に即した感じである。
アーネスト・クラインが未来に実現可能かもしれないVRの発展を描いたように、スピルバーグも説得力のある映像を志しているのだろうか。
何にせよ、2018年公開予定の『Ready Player One』はVRに注目する人間としても、映画ファンとしても興味深い作品だ。
完成と公開日の決定を待ちたい。