これまでにもいくつか紹介しているけれど、VRは今やハリウッド映画にとってプロモーションに欠かせないものになっているようだ。
今年の6月にアメリカで公開予定の映画『The MUMMY』のVRアクティビティが、3月10日から(日本時間では11日から)5日間限定で公開されるという。
何ぶんアメリカの話なので「興味がある方はぜひ!」というわけにはいかないが、いずれ日本でも体験できるようになるかもしれないので紹介しておきたい。
「無重力シーン」を再現するVRアクティビティ!
映画『The MUMMY』は、僕の最も愛する俳優のひとりであるトム・クルーズの、主演最新作。
ミイラとなっていた古代エジプトの王女が現代によみがえり、数千年前の恨みを晴らすべく世界を恐怖に陥れ、ミイラの発掘、あるいは移送に関わることになったトム・クルーズが立ち向かう――といった内容らしい。
1932年のホラー映画『ミイラ再生』のリブート(新生)版であり、3回目のリブート作品である。
日本では、2回目のリブート作品『ハムナプトラ』(1999)が有名だ。
ホラー要素だけでなく、コメディ要素や『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981~)のようなファミリーで楽しめるアドベンチャー要素も加えた娯楽大作だった。
一方、今回の『The MUMMY』はアメリカ版の予告編から類推するに、迫力の映像とスペクタクルが展開するシリアスなホラー・アドベンチャーに仕上がっているようだ。
予告編では、トムが乗っているミイラを輸送中の飛行機が突如、鳥の大群に正面から襲われて舵を失い、墜落するシーンを見ることができる。
かなり迫真に迫ったアクションシーンに仕上がっており、それ自体が“VR的”といってもいい出来である。
今回、公開が決定したVRアクティビティは、この飛行機墜落シーンを体感できるものになっているとのことである。
タイトルはその名も『The MUMMY ZERO GRAVITY VR EXPERIENCE』。
直訳すると、「ザ・マミーの無重力VR体験」となる。
映画の予告編では墜落中、無重力状態になった機内で、トムとヒロイン役のアナベル・ウォーリスが翻弄される姿が描かれたが、まさにあの状況を僕たちが体験することになるのである。
具体的には、僕たちはVR空間の動きに合わせて動くフルモーションチェアー「Voyager」に座って、VRヘッドセットをつけ、迫力の体験をする――とのことだ。
世界初!カンペキなフルモーションチェアー「Voyager」
『The MUMMY』のVRアクティビティで使われている「Voyager」は卵みたいな形状の椅子であり(色も白で、ますます卵っぽい)、体をすっぽりとおさめるように座る“フルモーションチェアー”だ。
今年の1月に発表されたばかりの新しいVRマシンである。
このマシンは、VR空間で起こる出来事に合わせて振動し、回転し、VR空間での出来事によって体に与えられる刺激をカンペキに再現することができる。
しかも、「Voyager」を開発したPositron社のCOO(最高執行責任者)であるジェニファー・ランデルさんのお話によると、このフルモーションチェアーは“VR酔い”をほぼ完全に解消することに成功したマシンであるという。
Positron社では、“VR酔い”に悩まされていた人たち、実に1,500人以上に聞き取り調査を行って徹底的に分析し、その結果、酔いを解消する技術の確立に成功したという。
「『Voyager』は、VRコンテンツのストーリーから読みとった動きをありのままに再現します」
とランデルさんは言う。
「Voyager」は、VR空間を細かく、緻密に読みとるので、視覚情報と体に伝えられる刺激が完全に同期する。そのことによって、視覚と体感の齟齬によって起こっていた“VR酔い”を防ぐことができるのである。
まあ、今回の『The MUMMY ZERO GRAVITY VR EXPERIENCE』は無重力状態の機内で体験する上へ下への大迫力シーンを体感できるというものなので、どっちにしろ酔っちゃうような気がしないでもないのだが……。
とはいえ、いずれにせよ、楽しいVRアクティビティになることは間違いないだろう。
今のところは、ここ日本でこのVRアクティビティを楽しめる日が――できれば『The MUMMY』が公開される前に来ることを、祈るばかりである。