HOME > 『スター・ウォーズ』とVR:大ヒット映画『ローグ・ワン』の撮影に使われていたVRテクノロジー

『スター・ウォーズ』とVR:大ヒット映画『ローグ・ワン』の撮影に使われていたVRテクノロジー

ローグワンその壮大な世界観が、全世界の人の胸にガツンと来たことから超人気シリーズとなった映画『スター・ウォーズ』(1977~)。

1977~83年の3部作に始まり、約10年ごとに新たな3部作が制作されている。
現在は最初の3部作の「その後」が描かれるシークエル(続)3部作が制作中である。

先ごろ、2017年公開の「エピソードⅧ」のタイトルが『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』であることが発表されたことでも話題になった。

フォースの覚醒そんな『スター・ウォーズ』シリーズだが、特に2015年の『フォースの覚醒』公開前後から、VRコンテンツを制作してプロモーションを行ったり、『スター・ウォーズ』の世界観を楽しめるアクションゲーム『スター・ウォーズ バトルフロント』の新作がVR対応であったりと、VRを積極的に取り入れている作品としても有名だ。

すでに『最後のジェダイ』のVRコンテンツ制作が発表されている、というニュースも流れている。
VRと関係が深い映画シリーズなのだ。

ところで、そんなシリーズのスピンオフとして制作された『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の撮影にVRのテクノロジーが使われたらしい――そんなニュースを今回は入手した。

BBCイギリスの公共放送BBCが、VRテクノロジーを活用した映画撮影のメイキング映像をYouTubeの公式チャンネル上で公開したのである。

CGシーンのカメラオペレーションにHTC VIVEのコントローラーを活用!

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、1977年に公開された“すべての始まり”である第1作『新たなる希望』の物語が始まる10分前(!)までが描かれた。

闇のパワーを使いこなす「皇帝」の独裁が敷かれた銀河帝国に反旗を翻した反乱軍が、帝国の最終兵器であるデス・スターの設計図を盗み出すために奮闘するアクション超大作である。

VRのテクノロジーは、主にCGで描かれた戦闘シーンの撮影に活用された。
反乱軍の戦闘機Xウィングや帝国軍の戦艦スター・デストロイヤーが色鮮やかなビームを交えて戦闘をくり広げるシーンの撮影に、大活躍したという。

VRを活用『ローグ・ワン』のCGクルーが開発したのは、「VCam Renderer」という撮影方法だった。この方法は、CGで描かれたシーンを撮影するのにHTC VIVEのコントローラーを活用するというものだ。

コントローラーにタブレット機器を接続し、ちょうどカメラのファインダーを覗きながらカメラを動かす感覚で、タブレットのディスプレイに映し出されたCG空間を自由自在に動いて撮影できるという方法である。

いわばCG空間を仮想現実に見立てて、自在に動き回れるようにしたものであるといえるだろう。

CGで描かれたシーンを撮影するとき、従来の方法だとパソコン画面内に築き上げられたCG空間のなかでマウスやキーボードを使い、カメラを置く位置や角度を決めたりしなければならなかった。

現実にミニチュアセットの中でカメラマンや監督が直感的に位置や角度を決める――という特撮映画の撮影方法は、CGの登場で映画業界から消えたかに思われた。

昔ながらの特撮しかし「VCam Renderer」という方法では、まさしく昔の特撮映画の撮影のように、カメラマンや監督がその心のおもむくままにカメラを動かすことが可能になるのだ。

監督の希望が反映された撮影方法

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の監督をつとめたのは、ギャレス・エドワーズ。

ゴジラの真似をするギャレス2010年に低予算SF映画『モンスターズ/地球外生命体』で長編映画デビューを果たして注目を集め、2014年には前作の320倍の予算を与えられて臨んだ超大作『GODZILLA ゴジラ』(2014)を監督して全世界のGOZZILAファンを熱狂させた(『モンスターズ』は予算50万ドル、『ゴジラ』は予算1億6千万ドルだった)。

HTC VIVEのコントローラーを活用した撮影技術は、このエドワーズ監督の「好み」に合わせて開発されたものだったようだ。

「ギャレスは実際にセットを自由に歩き回って、その場で面白そうなアングルなどを見つけることを好みます」
とは、『ローグ・ワン』視覚効果マンのスティーブ・エリス氏の弁。

CGをふんだんに使った『ゴジラ』や『ローグ・ワン』を監督しているし、デビュー作もSF感満載の『モンスターズ』というタイトルだし、CGを多用したSFスペクタクルが大好きなんだろう、と思われがちなギャレス監督。

しかし実は『モンスターズ』を見てもよくわかるけれど、彼の興味は怪獣やSF的スペクタクルだけでなく、人間同士のふれあいを描くことにも向けられている。

モンスターズ実際、タイトルとは裏腹に、『モンスターズ』は地球外生命体から逃れつつ心を通わせていく若い男女の物語を繊細に描いている点が印象的な作品だった。
ほとんど即興的にカメラワークやセリフが決められて撮影されたようである。

そんな作品を撮るギャレス監督なので、即興的に、直感的にCG空間を自由自在に動き回りながら撮影できる「VCam Renderer」には大喜びだったという。

と、このようにVRのテクノロジーが活用された『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』。
2017年2月27日現在、残念ながら上映館はゼロのようだが、早くも4月にはブルーレイ&DVDの発売が開始されるという。

劇場で見逃してしまった人も、ぜひ「VCam Renderer」によって即興性や直感がいかんなく発揮されたスペクタクル・シーンを堪能してみてほしい。